人気ブログランキング | 話題のタグを見る

やまぼうし文庫 yamaguwa.exblog.jp

本が好きで一箱古本市出店をきっかけに小さな本屋さん活動始めました。十日町・南魚沼中心に活動中。ここでは出店情報や好きな本のことを綴っています。


by やまぼうし文庫

今年も一年ありがとうございました。

あっという間に2019年も終わろうとしています…。
一年が早い…。
ブログ更新が止まっている間にも、いろんな場所に出店したり間借り本屋を新しく始めたり、いろいろ活動しておりました。
近況はツイッターの方でつぶやいております。
今年も本屋さん活動がいっぱいできた年でした。
特に本をきっかけに出会えた素敵な本好き仲間の皆さんと一緒にイベントができたことは私の中で大きな出来事でした。
企画を考えて実行に移すまでのあれやこれや色んなこと…イベント主催の大変さを改めて実感しました。
ひとりじゃとても出来なかった。本と人とのご縁に本当に恵まれているなとしみじみ感じています。
毎年毎年思っていることですが、このご縁を大切に来年も本屋さん活動を続けていきたいと思います。

久しぶりに本の紹介も。
12月に読了した本の中から一冊ご紹介。
11月に上越の浄興寺で開催された「浄興寺de縁日」。
そのイベントの古本市コーナーで出店させていただいたときに出会った「ものがたりおじさん家」さんから譲っていただいた一冊です。
ご自身のおすすめ本を並べて紹介されていて、フリーペーパーもおすすめ本について書かれてあってどの本も読んでみたい!と感じました。
その中の一冊、こちらの児童書が気になったのです。
今年も一年ありがとうございました。_f0351315_16243718.jpg
『かぎあなの秘密』クラピーヴィン・作 清水陽子・訳 中村悦子・絵/童心社
まず表紙に惹かれて読んでみたいなと思って色々お話をさせていただいていたら最終的に譲っていただいたかたちになり…本当にありがとうございます!
ストーリーは少年ジェーニャがある日怪しいおじさん(クトル・エーホ)に「長い間怪物に支配されている我が国を救ってほしい」と頼まれ、目には見えない島、ドヴィット島へ人々を救うために向かう…という一見よくある冒険ファンタジーに見えるのですが、そこで待っていたのは大人たちが作り出した「秩序がしっかりたもたれた国」の姿…。
子どもたちは郊外指導員によってきちんと指導され、守らなければ罰せられる…もうこの罰せられるシーンはジェーニャと気持ちが重なって怒りながら読んでいました…!
子どもは青年にはならず、すぐ大人になる…なぜなら青年は「いろんなさわぎを起こす」「何かを変えたい、古いものを捨てて新しいものを建設したい」とか「ばかげた」考えをするから…そんな「危険な人種」を生まないためにすぐに大人にする。健康で勤勉でおだやかな大人に。
そしてこの国の安泰のために「おそろしいものが必要」、それが人工的に作り出した怪物「ヤシシェル」…。
どうしてドヴィット島がこうなってしまったのか…ヤシシェルが生まれた背景が語られたシーンではなんとも言えない気持ちになりました…。
もう読み進めて行けばいくほど、少年ジェーニャと気持ちが一緒になってこの「支配者」への怒り、どうしようもできない悲しみ…簡単に変えることができない絶望感…色んな感情が溢れてきました。
それでも最後までなんとかしようとする少年ジェーニャと子どもたちがとてもいとおしかったです。
最後の方で…ジェーニャと同じで「若い騎士」として連れてこられていたユーリカ少年が自分の責任を果たすためにとった行動が…胸にグッときました…!
簡単にハッピーエンドではない終わり方で…でも少し希望が見える終わりで…この先が見たいと思いましたが、これはこのまま現実と地続きになっている話ではないかと個人的に思いました。
このドヴィット島の姿が今の日本社会…日本だけじゃなく世界の現実社会の姿と重なって見えてしまう部分があるから…。
美しさと平和の裏側にあるもの…これはファンタジーだけど、現実でもある…すごく胸にくる、考えさせられる物語でした。
児童書だけど、大人だからこそ読んで考える部分がたくさんあるなと感じた一冊でした。
とても良い本に出会えました。
きっかけをいただいて改めてありがとうございます。
来年のイベントで再会できたらまた感想をお伝えしたいなと思っています。

自分は本当に人に恵まれているなと実感することが多い一年でした。
私の本屋さん活動の最終目的は何なのか…実ははっきりした答えを持っていません。
お店を持ちたいのか…それともこのままの状態で行くのか…周りに影響されやすいので常に迷い続けています。
自分が納得できるところへ行けたら一番良い…難しいけれど悩んで悩んでいくしかない。
2020年、どんな年になるのでしょうか…東京オリンピックもありますね。
もっと先の感じがしていたらもう来年。
なんだかまとまらない文章になりましたが、来年も「本が好き」な気持ちは変わらずに本屋さん活動をしていきたいと思います。
また年明けにイベント告知に更新します。
では皆さまよいお年を!

by kaerunootyakai | 2019-12-29 16:56